妻からブライトンへ出張に行くと聞かされたとき、真っ先に思い浮かべたのはこの映画でした「さらば青春の光」(1979年公開、以下ネタバレ注意。お笑いコンビでも布袋寅泰でもないよ)。一緒に行く!と即答しました。
The Whoの名アルバム「Quadrophenia(四重人格)」を元ネタに映画化された1960年代ロンドンのモッズの青春群像を描いた作品です。ドラッグと酒と、ロッカーズとの乱闘に明け暮れ、光の見えない未来に失望しながら日々を悶々と過ごす「暗い」映画です。ちなみに同時上映は、舞台をニューヨークに移して同じく1960年代の青春(こちらはロックンローラー)を描いた「ワンダラーズ」。暴力や差別に直面する青春をタイトル通り「さまよい」ながらも最後はそこから脱出する、どちらかというとこちらの方がハッピーエンディングです。
映画の設定から約20年後、バブルの少し前ののんびりした日本で、学校にはあまり行かずに稼ぎのいいバイトに明け暮れる高1のワタシ。共感などできるはずもありませんでしたが、未来に不安を覚えるお年頃という共通項だけで、この映画のことは鮮明に覚えています。
ブライトンに話を戻します。主人公・ジミーはロンドンのクラブシーンでヒーロー的な存在のはずの(あのスティングが扮する)「エース」が、地元のホテルでベルボーイとして働くその姿に失望します。あげく、エースのベスパを盗み「セブンシスターズ」の断崖絶壁から投げ落とす(モッズとの決別の意?)という終わり方です。ブライトンでの主要なシーンはその2つ(ほかに、乱闘シーンもあり)、「ホテル・グランド」の正面玄関と「セブンシスターズ」の断崖。いつかこの目で見たいなあと思っていた「聖地巡礼」のチャンスがやってきました。
まずは「セブンシスターズ」。英仏海峡に面した断崖絶壁の一部で、その風光明媚な景色が映画の舞台やPVの背景によく使われています。と、ここまで書いて、実はセブンシスターズではなくてそのとなりにある「ビーチー岬」であることが判明…なんて間抜けな自分…(出典はWiki(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%BC%E5%B2%AC)。
行って初めてわかったことですが、波打ち際まで降りることができるんですね。そしてビーチは砂ではなくて砂利(!)。砂利だらけであるきにくいのなんの。ただ娘は宝の山を見つけたようにはしゃいでいます。砂利を手に取り、小石を積んでは投げ、積んでは投げで小石と戯れること約1時間。ワタシは色んな角度から絶壁を撮影して満喫しました。実際には違う場所だったけどまあいいかww。
次は「ホテル・グランド」。GoogleMapsによると、ブライトンのシンボル「ブライトン・パレス・ピア」(海岸に突き出た桟橋の上に遊園地やゲーセンがある)の東側。宇宙船のような展望台が130メートルの高さまでのぼる「i360」の足元にあるようです。ジミーが、宿泊客の荷物を甲斐甲斐しく運ぶエースの姿に失望するシーン。ホテルのエントランスが舞台です。実際に行ってみると、ビンテージな雰囲気のホテル。数段の階段の雰囲気はそのままですが、なんとなく雰囲気が違う。どうやらファサード全体にグラスハウスが追加されています。
ベスパが止められていたホテルの脇道、メインエントランス。それぞれ40年以上前に見た青春映画のシーンをトレースできるとは思いませんでした。妻に感謝です。
以下雑感。
3日間をブライトンで過ごしたんですが、約10年ぶりのイギリス訪問で10年ぶりの右ハンドル左側通行。道路は穴ぼこと轢かれた小動物だらけ、ちょっと郊外に出ると運転は荒っぽく、速度制限を下回ってると煽られ、クラクション鳴らされで、運転はヘトヘトになりました。オランダでも荒っぽい運転の人はいますが、そこまでではない…。
加えて言うなら、ヤードポンド法で表示されるナビ。例えば「次のラウンドアバウトまで1マイル」の直後「あと500ヤード」とか言います。1マイル=1.6km、1ヤード=0.9m。距離感が全然頭に入ってきません。さらに短い長さを表すときはインチやフィートも使うとか…。ついでにいうと、i360に登ったとき、高さをメートルでアナウンスしていました。イギリスの人の単位に対する考え方がいろいろおかしいww。